【三代目の視座】家は潜水艦じゃない。雨漏りの本質は「水の受け流し方」にある
永盛 斉(Hitoshi Nagamori)
株式会社永盛板金 三代目代表
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【三代目の視座】家は潜水艦じゃない。雨漏りの本質は「水の受け流し方」にある
永盛 斉(Hitoshi Nagamori)
株式会社永盛板金 三代目代表
赤城山に雲がかかると、明日は風が吹く
「冬場、赤城山に雲がかかっていると、次の日は風が吹く」── 先代がよく言っていました。ここ群馬の冬の風、いわゆる「赤城おろし」です。雨を伴わない、乾いた強い空っ風。先代は山を見て、明日の風を読んでいました。
雨も降っていないのに、なぜ板金屋が風を気にするのか。実は、この乾いた風こそが、何年もかけて家の弱点を静かに育てていく ── 雨漏りの、隠れた下ごしらえをしているからです。これこそが雨漏りの本当の原因なのです。
雨漏りの多くは、雨そのものよりも、この「家の弱り」と「水の動き」が重なったときに起きています。順を追って、その本質を見ていきましょう。
水は上から下へ。職人が守る、雨仕舞いの大原則
株式会社永盛板金は、1926年(大正15年)の創業です。私が三代目としてこの仕事に就いてから、先代や先人たちが築いてきた仕事の跡を何度も見てきました。そこには、時代が変わっても決して揺らぐことのない、ひとつの大原則がありました。
それは、「水は上から下へ流れる」という、あまりにも当たり前な自然の摂理です。屋根も、外壁も、実は完全な一枚板で覆われているわけではありません。無数の屋根材や板金が、魚の鱗のように、あるいは着物の合わせのように、少しずつ重なり合って構成されています。上の板が下の板に覆いかぶさる。この単純な重ね合わせによって、上から降ってくる雨水が自然と下へ下へと流れ、最終的に雨樋などを通じて地面へと導かれる仕組みになっています。
私たちは、水を防いでいるのではありません。
水をうまく受け流し、必ず外へ逃がす道筋をつくること。これが、私たちが「雨仕舞い(あまじまい)」と呼ぶ屋根工事の核心です。一枚一枚、水の通り道を読みながら、丁寧に納めていく。先人たちの知恵と経験が詰まった、実に繊細な手仕事です。
横殴りの雨が、家の「裏側」を突いてくる
では、その育った弱点から、どうやって水が入るのでしょうか。犯人は、空っ風そのものではありません。台風のときなどの、横殴りの雨です。
強い風は、雨を真上からではなく、斜めに、ときに下から上へと吹き上げます。この「下から上」という、通常の雨では起こり得ない力が、先ほどお話しした建材の「重ね」の裏側 ── 普段は決して水が当たらない隙間へ、水を押し込んでしまうのです。上から下へ流れる前提でつくられた屋根や外壁の、弱点を突く瞬間です。家は、下からの水に弱いのです。
特に、長年の風雨に晒されてきた古いお住まいでは、空っ風が育てたわずかな歪みや隙間に、こうして水が入りやすくなっています。空っ風が弱点を育て、横殴りの雨がそこを突く。
普段は家を雨から守っているはずの「重ね」が、皮肉にも水の入口になってしまう。これは家の欠陥というより、普段とは違う方向から力が加わったときに現れる、構造上の弱点です。だからこそ私たちは、定期的な点検を通じて、この見えざる水の通り道に隙を与えないよう努めなければなりません。
潜水艦に住めない私たちに、できること
ここで、最初のテーマに戻ります。家は、潜水艦ではないのです。完全に密閉され、水圧に耐えるよう設計された鉄の箱ではありません。私たちの住まいは、呼吸をする木材や、気候の変化で伸び縮みする金属といった、生き物のような素材でできています。
もし、仮に家を潜水艦のように完全防水にしたとしましょう。外からの水は一滴も入ってこないかもしれません。しかし、今度は別の問題が起こります。それは「結露」です。私たちの生活から出る水蒸気が逃げ場を失い、壁や窓の内側で水滴となり、家を内側から濡らし始めてしまうでしょう。
水を完全に「防ぐ」という発想は、結露という、新たな水の問題を招きかねません。
だからこそ、私たち職人に求められるのは、水と喧嘩して閉じ込めることではありません。水の性質を理解し、その力を受け入れ、そして穏やかに外へと案内してあげること。大切なのは、水とどううまく付き合っていくか、という視点です。
ご自宅の屋根や壁が、今も正しく水の通り道を守り、雨をきちんと仕舞えているか。時折、そんなふうに気にかけてあげることも、家を長持ちさせる秘訣かもしれません。何か気になることがございましたら、他のブログ記事もご覧いただくか、いつでもお声がけください。職人として、正直にお話しさせていただきます。
よくあるご質問
Q1. 雨漏りの本当の原因は何ですか?
雨そのものより、長年の風雨で生じた家のわずかな歪みや隙間(弱点)に、台風などの横殴りの雨が吹き込むことで発生します。群馬の空っ風が弱点を育て、強い雨がそこを突く、という組み合わせで起こることが多いです。
Q2. 「雨仕舞い」とは具体的にどういう仕事ですか?
水を完全に防ぐのではなく、建材の重なりを利用して水の通り道をつくり、雨水を自然に地面まで導く仕事です。魚の鱗のように、上の部材が下の部材に覆いかぶさる構造で、水をうまく受け流すための繊細な手仕事です。
Q3. なぜ家を完全に防水してはいけないのですか?
もし家を潜水艦のように完全に密閉すると、外からの水は防げても、室内の生活で発生する水蒸気が逃げ場を失い「結露」を引き起こします。この結露が家を内側から傷める原因になるため、家には適度な通気性が必要なのです。
Q4. 雨漏りを防ぐために自分でできることはありますか?
最も大切なのは、ご自宅の状態に関心を持つことです。台風の後や大雨の後に、外壁や屋根に異常がないか、雨樋にゴミが詰まっていないかなどを気にかけるだけでも早期発見に繋がります。定期的な専門家による点検も、家を長持ちさせる秘訣です。
雨漏りの本質をさらに深く知るために
雨漏り対策について、関連する記事をご紹介します。
まとめ:家は潜水艦ではない。水と共存する知恵「雨仕舞い」
家は潜水艦のように水を完全に密閉する構造ではありません。むしろ、呼吸するように湿気を逃がし、雨水は穏やかに外へ導く「雨仕舞い」の知恵で守られています。1926年から続く私たちの仕事は、この水の流れを読み、正しく道筋をつけること。群馬の厳しい風雨からお住まいを守るため、水と喧嘩するのではなく、うまく付き合う視点が大切です。定期的な点検で、この水の通り道を守りましょう。
株式会社 永盛板金
三代目代表 永盛 斉
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1926年から続く知見と、職人の手仕事で、お住まいをしっかりお守りします。
下記のLINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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