【三代目の視座】前橋市の建築板金──赤城おろしを受ける家の「納め方」
永盛 斉(Hitoshi Nagamori)
株式会社永盛板金 三代目代表
冬の前橋の現場は、まず風の音が違います。前橋市は赤城山の真南に開けた土地で、山を駆け下りてきた「赤城おろし」——群馬でいう空っ風が、遮るもののないまま家々に直接ぶつかってくる。乾いた強い風が、屋根の棟を、外壁の目地を、雨樋の受け金具を、来る日も来る日も揺さぶり続けます。私が1926年創業の建築板金に携わる者として前橋の家を見るとき、いつも頭にあるのは、この風がつくる「見えない疲労」をどう受け流すか、ということです。
風は一度で家を壊しません。何十年もかけて、静かに弱点を育てます。そして夏、空が急に暗転して大粒の雹が降るとき、その育った弱点をめがけて横殴りの雨が突いてくる。前橋の家を守るということは、この風と雨に「納まり」で応えるということだと私は考えています。
屋根 ── 頼るのは、屋根板金そのものの防水
私たちがまず考えるのは、板金そのもので水を止めることです。屋根の下にはルーフィング(下葺き材)という二次防水が敷いてありますが、それはあくまで予備・保険。板金職人の本分は、一次防水である板金そのもので雨を切ることにあります。二次に頼る作りはしない——これは先代から受け継いだ、私たちの立ち位置であり、多くの屋根工事の施工事例でも一貫しています。
前橋のように風が強い土地では、屋根材の板厚と働き幅が効いてきます。金属屋根に使うガルバリウム鋼板はおおよそ0.35〜0.6mm。横葺きなら一枚一枚を確実にかん合させ、立平(縦ハゼ)なら長い一本もので、屋根の形に合わせて葺いていきます。薄い金属は軽くて扱いやすい反面、強風で微細に振動し続ける宿命がある。だからこそ、留め方と重ね方の精度が家の寿命を分けるのです。
特に気を配るのが棟です。従来の棟板金は木の下地に釘で留めますが、空っ風の土地では木が痩せ、釘が浮き、やがて棟ごと飛ぶことがあります。そこで私たちは、木下地をやめてガルバリウム鋼板をベンダーで折った金属の棟下地に、リベットビスでしっかり固定します。風に一番あおられる頂点だからこそ、下地から金属で組む。地味な工夫ですが、ここが持つかどうかで台風後の姿がまるで違います。
外壁と端部 ── 「一本もの」と、切りっぱなしにしない手仕事
外壁工事で私たちがこだわるのは、継ぎ目を減らすことです。継ぎ目は、それ自体が雨漏りの潜在的な弱点。だから可能な限り「一本もの」の長い材料で、端から端まで継ずに仕上げます。オーダー加工では最長6m(運搬の都合で通常は4mまで)の一枚を使うこともあります。どうしても継ぐ場合は、重ねを90mm以上とり、シーリングを両端と真ん中の3条で通す。シールがいつか切れても、重ねの深さそのもので水を止める——そういう造りにしておくのです。
もう一つが端部の処理です。金属を切ったままの「切りっぱなし」の断面は、そこから錆が始まる無防備な入口になります。そこで部材と目的に応じて、端を内側に折り返す「あざ折り」を加える。面の広いものや風雨に晒される箇所では折り、水切りのように重ねで納めるものは折らない場合もある。一律ではなく、使い分けるのが職人の判断です。唐草(軒先の水切り)には水返しを付け、毛細管現象で水が吸い上がるのを小さな折り一つで食い止めます。
雨樋 ── 空っ風に外されない留め方
雨樋は、留め金具の間隔と一本ものが命です。空っ風の土地では、樋そのものより先に受け金具が揺すられて緩み、樋が外れたり波打ったりします。だから金具のピッチと、樋の伸び縮みを逃がす納まりに神経を使う。長い直線はできるだけ継がず、継ぐ場合は屋根や外壁と同じ考えで重ねをしっかりとる。流れる水の量と、この土地の風の当たり方を見て、勾配と落とし口を決めていきます。
株式会社永盛板金は、1926年(大正15年)の創業です。先々代から先代、そして私へと受け継がれてきたのは、こうした「手間を惜しまない」という姿勢でした。この姿勢は、ありがたいことに多くのお客様の声にも繋がっています。屋根の色や素材、外壁の意匠を選ぶのは、設計士の先生方やお住まいになるお客様の領分です。私たちの領分は、その選択の中で、前橋の風と雨に長く耐える最善の納まりを手仕事で実現すること。境界線を守りながら、職人として言えることをお伝えします。
台風や梅雨の季節に備える屋根や外壁、雨樋のメンテナンスで気になることがあれば、お気軽にお声がけください。一人の職人として、私が知る限り正直にお話しします。
前橋市の建築板金に関するよくあるご質問
Q1. なぜ前橋市の家は風に強い構造が必要なのですか?
前橋市は冬に「赤城おろし」という乾燥した強風が吹きつけます。この風が何十年もかけて屋根や外壁に微細な振動を与え、部材の劣化や釘の浮きを促進します。そのため、風の力を受け流す「納まり」を考えた施工が不可欠です。
Q2. 風に強い屋根の工夫とは何ですか?
特に風の影響を受けやすい棟部分の下地を、従来の木材ではなく金属(ガルバリウム鋼板)で作り、リベットビスで固定します。これにより、木材の痩せによる釘の緩みを防ぎ、棟全体の耐久性を大幅に向上させることができます。
Q3. 外壁の継ぎ目を減らすのはなぜですか?
外壁の継ぎ目は、シーリング材が劣化すると雨漏りの直接的な原因になり得ます。可能な限り「一本もの」の長い材料で施工することで、この弱点そのものを減らし、建物の防水性と耐久性を高めるためです。
Q4. 雨樋が風で外れないようにする対策はありますか?
受け金具の設置間隔を通常より狭くし、しっかりと固定することが基本です。また、樋の温度による伸縮を考慮した「逃げ」を設けることで、金具への負担を軽減し、強風による変形や脱落を防ぎます。
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まとめ:前橋の風土に応える建築板金とは
前橋市の家を守る建築板金は、冬の『赤城おろし』という強風との対話です。私たちは、板金そのもので水を止める屋根、継ぎ目を極力なくした外壁、そして風に揺すられない雨樋という3つの要点で、この土地の気候に応えます。1926年から続く手仕事と思想で、見えない疲労からお住まいを長期的に守ることが、私たちの使命です。
株式会社 永盛板金
三代目代表 永盛 斉
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1926年から続く知見と、職人の手仕事で、お住まいをしっかりお守りします。
下記のLINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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