太田市の屋根が傷む理由を、私は39年かけて覚えた。板金職人が書く、修理の前に読む話
永盛 斉(Hitoshi Nagamori)
株式会社永盛板金 三代目代表
※イメージ図(AI生成)
18歳からこの仕事一筋で39年になる。
群馬県太田市を拠点に、屋根・外壁・雨樋の建築板金に携わってきた。
仕事の中で気づいたことがある。屋根が傷む最大の原因は「気候を知らないまま修理した家」にある、ということだ。
修理の技術は確かに大切だ。それと同じくらい、なぜ傷んだのかを理解することが、次の傷みを防ぐ。
この記事は、太田市で屋根修理・板金屋根への葺き替えを検討している方に向けて、職人として正直に書く。
赤城おろしが板金屋根に残すもの
太田市の北西に、赤城山がある。標高1,828メートル。
この山から冬に吹き下ろす乾いた強風が「赤城おろし」だ。上州の空っ風とも呼ばれる。強い日には瞬間的に10メートル毎秒を超え、体感では非常に厳しい風になる。
この風が板金屋根(金属屋根)にするダメージは、大きく三つある。
棟板金やケラバ板金の端部が少しずつ持ち上がること。ビスや釘が少しずつ緩むこと。そして軒先や壁際のコーキングが乾燥してひび割れること。
※イメージ図(AI生成)
一回の風では気づかない。3年・5年と蓄積して、あるとき雨漏れ(雨漏り・雨もり)として現れる。
「急に雨漏りが始まった」と相談を受けることがある。しかしその「急」は、ほぼ例外なく数年分の蓄積の結末だ。
雹害と火災保険の正直な話
群馬の平野部は、雹が降ることがある地域のひとつだ。
夏の積乱雲が発達しやすい時期、屋根に雹が打ちつけることがある。ガルバリウム鋼板などの金属屋根(板金屋根)は、強い雹で表面に打痕が残ることがある。スレート瓦は割れることもある。
火災保険の「風災・雹災」は、こうした損傷が対象になりうる補償だ。
ただし「対象になりうる」と「必ず出る」は違う。最終的な判断は保険会社が行う。損傷が風災・雹災によるものか、経年劣化によるものかを確認した上で決まる。当社は支払可否を判断する立場にない。
私は「保険が出るから直しましょう」という商売の仕方をしない。そういう形で工事を勧めることはしない、という考えが39年で染み付いている。
被害を受けたと感じたら、まず保険証券を確認してほしい。次に、損傷部分の写真を撮って記録する。根拠を手元に持った上で保険会社に相談するのが、正しい順序だ。
地上から屋根の状態を読む
屋根に自分で登ることは、決してしないでほしい。
毎年、屋根に登って落下した事故の話を聞く。板金職人でも、高所作業には足場と安全帯が必要だ。
ただ、地上から確認できることはある。以下のポイントを一度見てほしい。
※イメージ図(AI生成)
※イメージ図(AI生成)
雨樋(雨とい・雨どい)の状態
雨樋の中に砂粒や黒い粒が溜まっていないか。
スレート屋根の表面粒が剥がれると雨樋に蓄積する。ガルバリウム鋼板の板金屋根でもこれが出る場合は注意が必要だ。
外壁上部と軒裏の変色
外壁の上部や軒裏に、変色・錆びがないか。
雨水が伝い始めているサインの可能性がある。棟や谷部分(屋根の山と谷)に近い外壁の黒ずみは、雨漏れの前兆として現れやすい。
天井・壁紙のシミや湿り
天井や壁紙に、薄いシミや湿りがないか。
ここまで来ると、すでに内部に水が回っている。早急に点検を依頼してほしい。
プロを呼ぶ目安
以下の三つのうち、ひとつでも当てはまれば点検を依頼することを勧める。
- 台風や強風の通過後。特に赤城おろしの強い日が続いた冬の終わりに確認したい。
- 板金屋根・ガルバリウム鋼板の屋根、またはスレートを載せてから10年以上、一度も点検していない。
- 天井や壁にシミ・湿り・カビ臭を発見した。
「修理が必要かどうか」は見てみないと分からない。しかし「見てもらうかどうか」に迷う必要はない。
太田市の住宅リフォーム支援制度
太田市は「住宅リフォーム支援事業」として、屋根・外壁・雨樋などのリフォームに補助を出している制度がある。
補助率30%、上限20万円。交付は、太田市のデジタル金券「OTACO」で行われる。
先着順のため、受付期間中に早めに申請することが重要だ。
令和8年度(2026年度)は、すでに予算に達して受付が終了している。過去の実績では、4月ごろに受付が始まり、翌年1月ごろまでを申請期間としているが、予算に達した時点で受付が終了する。令和9年度に再び受付が行われるかは市の公式発表がまだない。最新の受付状況と受付期間は、太田市公式サイトまたはOTACOで必ず確認してほしい。
補助の対象は「市内に所在する業者が施工する工事」という条件がある。永盛板金は太田市大原町の業者であり、太田市の住宅に対して正当に対象になる。
なお、制度の内容・要件は毎年変わることがある。申請前に太田市公式サイトまたはOTACOで最新の情報を必ず確認してほしい。
なぜガルバリウム鋼板の板金屋根を太田市に勧めるか
屋根材にはさまざまな種類がある。瓦・スレート・ガルバリウム鋼板(金属屋根・板金屋根)、それぞれに特性がある。
私がガルバリウム鋼板を多く施工するのは、太田市の気候に合っているからだ。
軽量なこと(重量は瓦より大幅に軽い)は、耐震の観点で有利だ。耐久性が高いこと(正しく施工されれば長期間使用できる)は、メンテナンスコストを抑える。そして赤城おろしのような強風に対しても、適切な工法(立平葺き・縦ハゼ葺き)で施工した板金屋根は高い耐風性を持つ。
1926年創業以来、私たちはこの地の気候を屋根で受け止めてきた。
素材の流行ではなく、この地の気候との相性で選ぶ。それが39年変わらない私の考え方だ。
よくあるご質問
Q1. 赤城おろしで屋根が傷みやすいと聞きましたが?
赤城おろしは乾燥した強風で、棟板金の浮きやコーキングのひび割れを起こしやすい環境を作ります。一回の風でなく、数年の蓄積で傷みが現れることがほとんどです。定期点検で早期発見するのが予防の基本です。
Q2. 雹が降った後、屋根を確認してもらえますか?
はい、対応できます。地上から見た目に変化がなくても、ガルバリウム鋼板に打痕が残っていることがあります。火災保険の申請が視野にある場合、工事前に保険会社に連絡し、状況を記録しておくことをお勧めします。支払可否の判断は保険会社が行います。
Q3. 板金屋根(金属屋根)は雨音がうるさいですか?
下地の断熱材と施工法によって大きく変わります。適切な断熱処理を施した板金屋根では、雨音が特に気になるという状況は起きにくいです。施工前にご相談ください。
Q4. 太田市の住宅リフォーム支援制度は、屋根工事にも使えますか?
はい、屋根・外壁・雨樋などのリフォームが対象です。補助率は30%、上限20万円で、交付は太田市のデジタル金券「OTACO」で行われます。先着順のため受付開始後の早い時期に申請することが重要です。令和8年度(2026年度)はすでに受付が終了しています。令和9年度の受付については、最新情報を太田市公式サイトまたはOTACOで必ずご確認ください。
太田市の屋根・板金工事に関する参考記事
太田市の屋根修理・板金屋根について、あわせてご覧いただきたい記事をご紹介します。
まとめ:太田市の屋根と39年向き合ってきた私が、正直に伝えること
太田市の屋根が傷む本当の原因は、気候にある。
赤城おろしという冬の強風と、雹害というリスクを知ることが、正しい屋根管理の第一歩だ。
屋根に自分で登らない。地上から確認できるサインを見逃さない。気になったら早めに点検を依頼する。補助金制度を正しく知った上で活用する。
39年間、この地の屋根と向き合ってきた立場から、正直に書いた。
→ 関連: 雨漏りの原因と対策
→ 関連: 建築板金の施工と技術
株式会社 永盛板金
三代目代表 永盛 斉
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1926年から続く知見と、職人の手仕事で、お住まいをしっかりお守りします。
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