【三代目の視座】常に改善する姿勢。技術は陳腐化するが、探求する心は腐らない。

【三代目の視座】常に改善する姿勢。技術は陳腐化するが、探求する心は腐らない。

永盛 斉(Hitoshi Nagamori)

株式会社永盛板金 三代目代表

常に改善・止まったら終わり|群馬・太田の建築板金 永盛板金

この仕事に、「これで完成」という日は来ません。一つの現場を無事に納め、施主様にご満足いただけたとしても、私の頭の中ではすぐに次の思考が始まります。「あの部分、もっと良い納め方があったのではないか」「次はこうしてみようか」。職人とは、そういう性分なのかもしれません。

株式会社永盛板金は、私の祖父が1926年(大正15年)に創業しました。その長い時間の中で、会社を取り巻く環境も、私たちが扱う素材も、そして使う道具も、すべてが変わり続けてきました。もし、私たちが「これで完璧だ」と一度でも考えてしまっていたら、おそらく今日という日はなかったでしょう。今日は、私が仕事をする上で、そして次の世代にバトンを渡す上で、最も大切にしている「姿勢」についてお話ししたいと思います。

変わるもの、変わらないもの

私がこの道に入った頃と今とでは、屋根や壁に使われる板金の素材は大きく進化しました。かつて主流だった亜鉛鉄板から、今はガルバリウム鋼板が当たり前になりました。素材が変われば、その特性も変わります。硬さ、しなやかさ、耐久性。すべてが違う素材に対して、昔ながらのやり方がそのまま通用するわけではありません。

先代から受け継いだ伝統的な技術は、もちろん私たちの根幹です。しかし、それをただ墨守するだけでは、新しい素材の性能を最大限に引き出すことはできません。伝統とは、ただ形をなぞることではない。その時代における最善を追求し続けた先人たちの「精神」を受け継ぐことだと、私は考えています。

だから私は、新しい商品が出れば展示会に足を運びますし、同業の職人さんが手がけた素晴らしい仕事を見れば、素直に「どうやっているんだ?」と研究します。良いものは、真似ていい。私はそう思っています。もちろん、そっくりそのままではありません。その素晴らしい技術を自分なりに咀嚼し、そこに自分の一手を加える。無駄を削ぎ落とし、より良くしていく。この繰り返しです。

止まっていることは、後退と同じです。

常に変わり続ける現実の中で、私たち職人もまた、変わり続けなければならない。それが、この仕事の厳しさであり、面白さでもあるのです。

「正解」は一つではない

私たちが行う建築板金の仕事に、マニュアル通りの唯一絶対の正解というものはありません。同じ設計図であっても、現場の環境、下地の状態、気候、すべてが微妙に異なります。だからこそ、私たちは現場で判断し、その場に合わせた最善の「手仕事」を施していく必要があります。

長年この仕事と向き合っていると、現場を見た瞬間に、頭で考えるより先に「ここはこう納めるのが必然だ」と、答えが導き出される感覚があります。唐草の水返しひとつ、縦ハゼの締め方ひとつとっても、その建物の寿命を左右する勘所が、経験によって体に染み付いてくるのです。

しかし、それはあくまで技術的な最適解の話。現実の仕事は、それだけでは成り立ちません。そこには必ず、施主様のご予算という大切な条件があります。最高の素材を使い、考えうる限りの手間をかければ、もちろん理想的なものができるでしょう。ですが、それが施主様の望むものでなければ、私たちの自己満足に過ぎません。

私たちがすべきは、与えられた条件の中で、最善を尽くすこと。技術的な理想と、現実的な制約。その両方を見据え、バランスを取りながら、その時点でのベストな答えを導き出す。それこそが、プロの仕事だと私は信じています。

私が、若い世代に残したいもの

ありがたいことに、永盛板金にも若い世代が育ってくれています。彼らに、私が何を伝えられるだろうか、と常に考えています。もちろん、具体的な技術指導は日々行います。しかし、私が本当に残したいのは、特定の技術や手順そのものではありません。

なぜなら、私が今「これが一番だ」と教えている技術も、5年後、10年後にはもっと良い方法が生まれているかもしれないからです。新しい素材、新しい道具、新しい工法。時代は常に前に進みます。特定の技術を「暗記」させることには、あまり意味がないのです。

私が彼らに残したい、たった一つのもの。それは、「常に改善し続ける姿勢」です。

技術は陳腐化する。だが、探求する姿勢は腐らない。

「親方の言う通りにやりました」で終わるのではなく、「もっと良い方法はありませんか?」と問いかけてくる。そんな職人になってほしい。その姿勢さえあれば、私が一線を退いた後、どんな新しい時代が来ようとも、彼らは自分たちの頭で考え、その時代における最善の仕事を見つけ出していけるはずです。

止まったら、終わり

1926年(大正15年)の創業以来、私たちが仕事を続けてこられたのは、決して特別な才能があったからではないでしょう。ただ、父も、そして私も、「これでいいのか?」と自問自答を繰り返し、昨日より今日、今日より明日と、ほんの少しでも良い仕事をしようともがき続けてきた。その積み重ねの結果が、今なのだと思います。

これは、業界全体にも言えることかもしれません。時に、私たち自身が囚われている「昔からの常識」が、新しい可能性の目を摘んでしまうことさえあります。しかし、変化を恐れて立ち止まってしまえば、その仕事の価値も、そこで止まってしまいます。他社の職人さんたちの素晴らしい仕事に敬意を払い、学び合い、業界全体で高め合っていく。そんな未来を描いています。

残したいのは、技術そのものより、改善し続ける姿勢です。それさえあれば、次の世代は、きっと私を超えていける。そう信じて、私は今日も、この仕事と向き合っています。

建築板金について、何か気になることがあればいつでもお声がけください。一人の職人として、正直にお話しさせていただきます。

よくあるご質問

Q1. なぜ「これで完成」という日がないのですか?

常に改善の余地を探しているからです。一つの現場が終わっても「もっと良い納め方はなかったか」と自問し、次への糧とするのが職人の姿勢だと考えています。

Q2. 伝統技術と新しい技術、どちらが重要ですか?

どちらも重要ですが、最も大切なのは「その時代における最善を追求する精神」です。伝統は先人の精神を受け継ぐことであり、新しい技術はそれを現代で実現するための手段だと捉えています。

Q3. 若い世代に最も伝えたいことは何ですか?

特定の技術ではなく「常に改善し続ける姿勢」です。技術は時代と共に変わりますが、探求する姿勢さえあれば、どんな時代でも自ら最善の答えを見つけ出せると信じています。

Q4. 仕事の「正解」はどのように見つけるのですか?

唯一絶対の正解はありません。現場の状況、気候、そして施主様のご予算といった条件の中で、技術的な理想と現実のバランスを取り、その時点でのベストな答えを導き出すことがプロの仕事だと考えています。

職人の姿勢と技術の継承に関する記事

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まとめ:技術は陳腐化するが、探求する姿勢は腐らない

1926年の創業以来、永盛板金が大切にしてきたのは、特定の技術ではなく「常に改善し続ける姿勢」です。技術は時代と共に変わりますが、昨日より良い仕事をしようと探求する精神こそが、会社を未来へ繋ぎ、次の世代が私達を超えていくための礎となると信じています。この姿勢こそが、私たちがお客さまに提供できる最大の価値です。

株式会社 永盛板金
三代目代表 永盛 斉

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公開日: 2026年07月01日 | 株式会社永盛板金

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