先代の教え「為せば成る」と「水の気持ち」— 99年続く永盛板金の仕事哲学

先代の教え「為せば成る」と「水の気持ち」— 99年続く永盛板金の仕事哲学

— 99年続く永盛板金の仕事哲学 —

はじめに:私たちの仕事のすべてを支える、二つの教え

こんにちは。株式会社永盛板金の三代目、代表の永盛 斉です。

99年間、この群馬の地で建築板金業を続けてこられたのはなぜか。そして、私が40年近くこの仕事を続けてこられた原動力は何か。それは、技術や経験以上に、先代(父であり、師でもある二代目・道二)から受け継がれる、二つの大きな教えがあるからです。

一つは、挑戦する姿勢を示す、かの有名な上杉鷹山の言葉「為せば成る、なさねば成らぬ、何事も」。

そしてもう一つは、技術の本質を説く、職人ならではの「水の気持ちになって考えろ」。

この記事では、これらの哲学が日々の現場でどのように活かされ、四代目である息子・睦宜(よしき)や、志を同じくするスタッフたちにどう受け継がれているのか、その想いをお話しさせていただければと思います。

1. 「為せば成る」– 職人としての覚悟と、終わりなき挑戦

「為せば成る」とは、私たちの「仕事へのスタンス」そのものです。

雨漏りの原因がどうしても特定できない時、他社が「うちでは無理だ」と匙を投げた複雑な形状の屋根と向き合う時、私の頭にはいつもこの言葉が浮かびます。「できない」と諦める前に、「どうすればできるか」を考え抜く。それが、永盛板金の職人としての覚悟です。

この精神は、新しい技術への挑戦にも繋がっています。私が若い頃、まだ業界で使っている人が少なかったCADを独学で学び始めたのも、「なさねば成らぬ」という想いからでした。そして今、私はAIという新しい技術に挑戦し、情報発信や技術の深掘りに活用しています。伝統の技に安住せず、常に新しい知識や技術を「為す」ことで、お客様への提案の質を向上させ続ける。その挑戦の積み重ねが、今日の永盛板金を作っているのです。

2. 「水の気持ちになって考えろ」– 建築板金の技術的真髄

「為せば成る」が私たちの精神的支柱であるならば、「水の気持ちになって考えろ」は、具体的な「問題解決の方法論」、つまり技術的真髄です。

水は、ただ高いところから低いところへ流れるだけの単純な存在ではありません。

  • 表面張力と毛細管現象: 水は壁を伝い、ほんの数ミリの隙間を吸い上げられるようにして、横へ、時には少し上へと、私たちの想像を超える経路で移動します。「シミの真上が漏れの入口とは限らない」のは、この水の「気持ち」を理解していないと見えてきません。
  • 運動エネルギーと飛散: 群馬の台風やゲリラ豪雨の際、水は屋根に叩きつけられ、砕け散り、風に煽られてあらゆる方向から襲いかかってきます。この「荒ぶる水の気持ち」を想定し、雨押え(壁との取り合い部分の板金)に十分な高さを確保し、水切りの形状を工夫することで、水の侵入を防ぎます。
  • 状態変化(液体・個体・気体): 水は、冬には凍って氷となり(凍害)、建材を内側から破壊します。また、夏には水蒸気となって屋根裏にこもり、結露して構造体を腐らせることもあります。屋根の換気(通気層や換気棟)を考えるのは、この気体としての水の気持ちを考え、その逃げ道を設計してあげるためです。

水の力を無理やりブロックするのではなく、その性質を深く理解し、建物に害のない安全な「道」を設計してあげる。これこそが、建築板金の要である「雨仕舞い(あまじまい)」の極意です。

3. 「水は素直だ」– 職人の仕事と自然の摂理

そして、この二つの教えを実践する中でたどり着いた、もう一つの重要な真理があります。それは、先代が時折口にしていた「水は素直だ」という言葉です。

これは、「ごまかしが効かない」ということです。水は、必ず物理法則に従い、最も弱いところ、最も流れやすいところを目指します。水は決して嘘をつきません。

だからこそ、私たちの仕事もまた「素直」でなければなりません。一つ一つの工程で手を抜かず、見えない下地や防水シートに至るまで、誠実な仕事をすれば、水は私たちが設計した通りの「道」を素直に流れてくれます。しかし、少しでも手抜きや設計上の見落としがあれば、水はそれを正直に見つけ出し、数年後、数十年後に「雨漏り」という形で私たちに答えを突きつけてくるのです。

「為せば成る」の精神で困難に挑み、「水の気持ちになって」最善の策を考え、そして「水は素直だ」と知っているからこそ、一切のごまかしなく、誠実な仕事を貫く。これが、永盛板金の信頼の源泉です。

4. 三つの教えを未来へ – 四代目、そしてスタッフへの継承

これらの教えは、私の代で終わりにするわけにはいきません。99年の歴史が紡いできたこの「魂」を、次の世代へと繋いでいくこと。それが、三代目である私の最も重要な使命だと考えています。

先日、SNSにも投稿しましたが、40年前に私の父である先代(二代目)が施工した屋根の改修工事を、四代目である息子・睦宜(よしき)が担当する機会がありました。彼が屋根の軒先で、雨仕舞いの要である「唐草(からくさ)」という部材を、専用の道具で掴み込んでいる姿。その一つの作業の中に、私たちの哲学の全てが凝縮されています。[Instagram投稿を見る]

私は彼に、ただ作業の手順を教えるだけではありません。

「なぜ、この唐草の先端を数ミリ、この角度で曲げるのか?それはな、水の気持ちになれば分かる。水は表面張力で先端を伝おうとする。この角度があれば、水は重力に引かれてスパッと縁が切れる。だが、この角度が甘ければ、水は裏側へ回り込んでいずれ雨漏りの原因になる。水は素直だから、お前の仕事の良し悪しを正直に映し出す鏡だぞ」と。

そして、古い屋根の複雑な納まりを前に、彼が少し戸惑いを見せた時には、「どうすればできるか、まずはお前が考えてみろ。方法は一つじゃない。やってみなければ、何も始まらない。為せば成る」と、背中を押します。

言葉で教えるのは簡単です。しかし、共に現場に立ち、汗を流し、時には厳しく、そして何より私自身が仕事に真摯に向き合う「背中」を見せることでしか、本当の意味での技術と哲学の継承はできないと信じています。それは息子だけでなく、共に働く若いスタッフに対しても同じです。彼らが「永盛板金の仕事は、他とは何かが違う」と感じ、その意味を自ら問い、技術を磨いてくれること。その積み重ねが、会社の未来そのものとなります。

お客様からすれば、私たちの仕事は、屋根や外壁が完成すれば見えなくなってしまう部分ばかりかもしれません。しかし、その見えない部分にこそ、私たちの99年の歴史と、世代を超えて受け継がれる想いが息づいています。四代目が、そして若いスタッフたちが、この教えを胸に仕事をしている。その事実が、お客様にとっての何よりの「長期的な安心」に繋がると、私は確信しています。

5. 永盛板金の仕事哲学についてのQ&A

私たちの仕事の根幹にある考え方について、よくいただくご質問にお答えします。

Q1: なぜ永盛板金は「水の気持ちになって考えろ」という教えを大切にしているのですか?

A1: なぜなら、水は「素直」でごまかしが効かず、常に物理法則に従って建物の最も弱い部分を探し出すからです。「水の気持ち」を理解し、その通り道を正しく設計することこそが、雨漏りを根本から解決し、お客様の家を長期的に守る唯一の方法だと、99年の経験から確信しているからです。

Q2: 「為せば成る」という精神は、具体的にどのような仕事に活かされていますか?

A2: 他の業者が「難しい」と敬遠するような複雑な形状の屋根や、難易度の高い雨漏り修理に直面した際に、諦めずに解決策を探し出す姿勢に活かされています。また、CADやAIといった新しい技術を積極的に学び、より良い提案や施工に繋げるための挑戦の原動力ともなっています。

Q3: 永盛板金にとって「職人の技術」とは何ですか?

A3: 単に手先が器用なことではありません。99年積み重ねてきた知識、水の動きのような自然の摂理への深い理解、そしてお客様の暮らしを数十年先まで守るという責任感。これら全てが融合したものが、私たちが考える「職人の技術」です。

Q4: このような会社の理念は、代表だけでなくスタッフ全員に共有されているのですか?

A4: はい、共有しています。先代からの教えは、私だけでなく、四代目である息子・睦宜や、共に現場に立つ全てのスタッフにとっての仕事の基本です。朝のミーティングや日々の作業の中で、常にこの哲学に立ち返ることで、チーム全体で品質の高い、一貫した仕事をご提供できるよう努めています。この想いの継承こそが、私たちの最大の強みです。

結論:私たちが提供するのは「技術」と「哲学」です

永盛板金の仕事は、単に金属の板を加工し、取り付けることではありません。

「為せば成る」という挑戦の精神。

「水の気持ちになって考えろ」という深い洞察力。

そして、「水は素直だ」という仕事への誠実さ。

私たちは、この三つの哲学に裏打ちされた「長期的な安心」をお客様にお届けしています。

雨漏り修理から、屋根・外壁・雨樋のリフォーム、そして未来の家づくりまで、もしあなたが本物の技術と信頼を求めるなら、ぜひ一度、私たちの仕事に込められた想いに触れてみてください。

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