提供サービスリフォーム工事屋根カバー工法

屋根カバー工法 ―― 今の屋根に、軽い金属をもう一枚重ねる

カバー工法は、古い屋根を剥がさず、その上に防水シート(ルーフィング)を敷き、軽い金属屋根を重ねて葺くリフォームです。「重ね葺き」とも呼びます。撤去も廃材も少なく、工期が短くなりやすい。ただ、どんな屋根でもカバーできるわけではありません。下地が傷んでいれば、下から替える葺き替えのほうが家のためになります。群馬・太田の永盛板金(創業1926年・四代続く建築板金)が、赤城おろしの強風・雹・大雪という土地の気候をふまえて、正直にお話しします。

群馬でコロニアル(スレート)屋根に、軽いガルバリウム鋼板をカバールーフ施工している永盛板金の現場

群馬のコロニアル(スレート)屋根に、軽いガルバリウム鋼板を重ねてカバーしているところ。

① カバー工法とは ―― 葺き替えとの違い

屋根のリフォームには、大きく三つの道があります。表面を塗り直す塗装、今の屋根の上に重ねるカバー工法、古い屋根を剥がして新しく葺く葺き替え。カバー工法は、この真ん中にあたります。

葺き替えとの一番の違いは、古い屋根を撤去するかどうかです。カバー工法は撤去しないので、剥がす手間・廃材の処分費がかからず、工期も短くなりやすい(一般に規模や形状によって数日〜2週間程度とされます)。剥がす作業が少ないぶん、粉じんや騒音、近隣へのご負担も比較的小さく収まります。そして二重構造になるため、断熱材が一体になった金属屋根を選べば、断熱・遮熱・遮音を足しやすい。載せるのは軽い金属なので、重量の増え方も抑えられます。

ただし、屋根材が一枚増えるぶん、重量は必ず増えます。この事実を隠しません。だからこそ、載せる金属をできるだけ軽いものにして、増える重さを最小限にする。金属屋根はおおむね約5kg/㎡で、スレートの約20kg/㎡、瓦の約40〜60kg/㎡と比べて、もう一枚重ねてもずっと軽い。ここがカバー工法の成り立つ理由です(重量はいずれも製品・条件で幅があります)。

② カバーできる屋根・できない屋根

カバー工法は万能ではありません。向く屋根と、向かない屋根があります。ここを見極めずに「とにかくカバー」で進めると、後で傷みが表に出ます。

カバーに向く屋根

  • スレート(コロニアル・カラーベスト):軽く平らで、カバー工法の定番。築10〜20年台で下地が健全なら好適とされます。
  • 金属屋根(トタン・瓦棒・ガルバリウム)折板:平らな面をつくれるものは対象になり得ます。
  • アスファルトシングル:状態を見たうえで対象になり得ます。

カバーに向かない屋根 ―― 葺き替えをおすすめする場合

  • 瓦屋根:形状的に、基本は対象外です。
  • 下地(野地板)が腐っている:屋根材を留めるビスが効かず、強風でめくれる原因になります。
  • すでに雨漏りが進んでいる:原因を覆い隠すだけになり、内部でさらに傷みが広がります。原則は葺き替えです。
  • 割れ・腐食が激しい屋根、築年数が相当に経った屋根も、葺き替えを検討します。

向くか向かないかは、外から見るだけでは決まりません。永盛板金は、外観の点検に加えて小屋裏(天井裏)から野地板の含水・雨染み・たわみを確かめ、棟板金を外したときに下地を目で見て判断します。「上から重ねられるかは、開けて下地を見てから決める」――ここを省きません。

古いスレートと石綿(アスベスト)について

古いスレートには、石綿(アスベスト)を含む製品があります(おおむね2004年以前の製造品に含有の可能性)。カバー工法は、割らず・撤去せず重ねるため、飛散のリスクを比較的抑えやすい工法とされます(「抑えやすい」であって「必ずゼロ」ではありません)。一方で、高圧洗浄・棟の撤去・ビス打ちなどで飛散の可能性はあり、法令では一定規模以上の改修で事前調査とその報告が義務づけられています(2022年4月〜報告義務化、2023年10月〜有資格者による調査が義務)。永盛板金は、この法令に沿って対応します。

③ 重ねる金属屋根材の選び方

カバー工法で載せる金属屋根の主役はガルバリウム鋼板、そしてめっきにマグネシウムを加えた次世代材のSGLです。いずれも軽く、従来のトタンより耐食性が高いとされます。カバー工法で特に選ばれやすいのが、屋根材の裏に断熱材が一体になったタイプ。二重構造の利点を活かして、断熱・遮熱・遮音を一枚で足せます。

代表的な製品には、アイジー工業のスーパーガルテクト、ニチハの横暖ルーフなどがあります。どちらも金属の表面材に断熱材を一体化した屋根材で、重量はおおむね約5kg/㎡。保証は、たとえばスーパーガルテクトでメーカー公表値として穴あき25年・赤錆20年・塗膜15年といった区分があります(数値は製品・グレード・時期で変わるため、実際の選定では最新のカタログでご確認のうえご提案します)。

*「30年」などの長い保証年数は、多くが本体(割れ・剥がれ等)の保証であり、塗膜の色あせや赤さび・穴あきは別区分で年数が短いのが一般的です。年数を一つにまとめず、区分ごとに正しくお伝えします。

④ 留め付け(吊り子・ビス)を、群馬の風と雪に合わせる

屋根が飛ぶ・めくれるのは、多くが留め付けと下地の問題です。金属屋根は、吊り子(つりこ)やビスで下地に留めていきます。この留め付けの間隔(ピッチ)と本数を、群馬の気候に合わせて設計するのが、板金屋の仕事の芯です。

群馬は、冬の北西の強風「赤城おろし」が吹き続ける土地。前橋では台風時に最大瞬間風速40.2m/sを記録した観測もあります。強い風は、屋根の端(軒先・ケラバ・棟)を持ち上げようとします。だから端部の役物固定と、留め付けピッチの詰め方が効いてくる。さらに群馬は、平野でも大雪になる土地です(後述)。風で持ち上げる力と、雪で押さえつける荷重――この両方を見て、留め付けを決めます。降雪の多い立地では、雪止めの配置もあわせて考えます。数値は製品の施工基準と現場条件で定めるため、現場ごとに設計します。

⑤ 雨仕舞いの急所は「取り合い」と「通気」

雨漏りは、屋根の面の真ん中より、棟・軒先・ケラバ・谷・壁際・天窓まわりといった、面と面・面と壁がぶつかる「取り合い」から起きます。ここをどう板金で納めるかが、屋根の持ちを決めます。永盛板金は、軒先の唐草(水切り)、ケラバや棟の役物を自社で加工して屋根本体と一体に納め、継ぎ目や隙間を減らします。既製の短い部材を並べるだけの工事とは、水が集まる場所の作りが違います。

そしてカバー工法で最も見落とされやすいのが通気です。「カバーしたのに、数年後に天井へシミが出た」――この多くは雨漏りではなく、二重構造の内部にこもった湿気による結露で、下地(野地板)が腐るケースです。永盛板金は、湿気を逃がす下葺き材(透湿ルーフィング)と、屋根のてっぺんから湿気を抜く換気棟(かんきむね)で、蒸れをためない設計をします。覆うだけでなく、抜け道をつくる。ここが二重構造を長持ちさせる要です。

⑥ 群馬の気候を、数字で考える

屋根の設計は、その土地の気候から逆算します。群馬・太田で三つ、押さえておきたい数字があります。

  • 大雪:2014年2月14日、前橋で最深積雪73cm(気象庁前橋・観測史上最深)。平野部でも、豪雪地並みの積雪荷重を考える根拠になります。だから留め付けと雪止めを軽く見ません。
  • 豪雨:北関東(群馬・栃木・埼玉・茨城)の設計降雨強度の目安は約140mm/h。屋根から流れ落ちる雨量が大きい土地です。谷や軒先の納まり・水の逃がし方が効いてきます。
  • 赤城おろし・雹(ひょう):冬は継続的な北西の強風。夏には雹が降り、群馬では近年3年連続で降雹が確認されています。雹に対して、塗膜が硬くなった塩ビや薄い素材は割れ・欠けが出やすい一方、金属は砕けにくく、凹み・変形にとどまりやすいのが性質です。

*出典:積雪・風速は気象庁(前橋)の観測記録、設計降雨強度は北関東の一般的な目安値です。数値は観測・条件により幅があります。

⑦ 火災保険と、永盛板金の「調査報告書」

風災・雹災・雪災など自然災害による屋根の被害は、火災保険の対象になり得ます。一方で、経年劣化は対象外です(この点は日本損害保険協会も明記しています)。カバー工法は屋根全体を新しくするリフォームのため、「工事の全額がそのまま保険でまかなえる」わけではない点にもご注意ください。

永盛板金は、被害が自然災害によるものだと分かる客観的な証拠――自然災害由来の根拠・複数角度からの詳細な損傷写真・技術的に妥当な復旧案――をまとめた「調査報告書」を作成します。屋根・外壁・雨樋のいずれでも作成できます。ただし、申請はお客様ご自身が行う形式で、当社が代行申請はいたしません(無資格者が報酬を得て申請手続きを代行することは、法令上の問題があります)。

「自己負担なく直せる」とうたう業者にはご注意を

「着手金ゼロ・成功報酬◯%」といった保険金申請の代行をうたう勧誘については、国民生活センターも注意を呼びかけています(高額な解約手数料などのトラブル)。まずは、ご契約先の保険会社・代理店へご相談ください。考え方は「調査報告書」の重要性を解説した記事で詳しくお話ししています。

⑧ 費用の考え方

費用は、屋根の面積・形状・勾配、選ぶ屋根材、下地の補修の要否、足場の条件で大きく変わります。断定はできませんが、目安として、㎡あたりの単価は一般に8,000〜15,000円程度とされ、これに足場が別途かかります。カバー工法が葺き替えより抑えやすいのは、既存屋根の撤去費・廃材の処分費がかからないぶんです(石綿を含む屋根なら、その処分費も生じません)。

総額を最も動かすのは、屋根の面積と足場です。正確な金額は、屋根の状態を見せていただいたうえでお出しします。金額の根拠――どこに何が要るのか――をあわせてご説明します。

⑨ 施工の流れ

  1. 点検・診断:外観に加え、小屋裏から野地板の状態を確認。カバーか葺き替えかを判断します。
  2. 足場の設置
  3. 下地調整・清掃:既存の棟板金などを撤去し、面を整えます。
  4. 軒先の唐草(水切り)取り付け
  5. 下葺き材(ルーフィング)の敷き込み:湿気を逃がす透湿タイプを用います。
  6. ケラバ・軒先など端部の板金
  7. 金属屋根材の葺き付け:吊り子・ビスを風雪荷重に合わせて留めます。
  8. 棟・谷・壁際の役物、換気棟の納め
  9. 最終点検・足場解体

⑩ カバー工法の失敗は「点検」で防ぐ

カバー工法でよく聞くつまずきは、決まっています。通気不足による内部結露で野地板が腐る、下地が傷んでいてビスの保持力が足りず強風でめくれる、雨漏りを覆い隠して悪化させる――どれも、重ねる前に下地を確かめれば防げるものです。施工後は下地の補修ができません。だから永盛板金は、点検を工程の中に組み込みます。「上から重ねられるか」を、開けて下地を見てから決める。売らない勇気も、板金屋の仕事だと考えています。

カバー工法は、軽くて短工期。でも「向く屋根」に、正しく納めてこそ。

今の屋根の下地を見て、カバーか葺き替えかを判断し、群馬の風・雪・雹に合わせて留め付け・通気・役物まで設計する。まずは今の屋根を見せていただくところから、根拠をもってご提案します。

— 屋根カバー工法のご相談はこちら —

カバーが向く屋根か、葺き替えが良いか。今の屋根を見せていただいて、根拠をもってご提案します。
1926年から続く知見と、職人の手仕事で、お住まいをお守りします。

TEL 0277-78-5683

▶ LINEで相談する ▶ お問い合わせフォーム

よくあるご質問

Q. カバー工法と葺き替え、どちらを選べばよいですか?

一概には言えません。下地が健全で、雨漏りがなく、スレートや金属屋根であれば、カバー工法は有力な選択肢です。下地が傷んでいたり、雨漏りが進んでいたり、瓦屋根の場合は葺き替えを検討します。まず点検で下地を確認してから判断します。

Q. どんな屋根でもカバーできますか?

いいえ。スレート・金属屋根・折板などは対象になり得ますが、瓦屋根は形状的に基本は対象外です。また下地(野地板)が腐っている、すでに雨漏りが進んでいる場合は、覆い隠すだけになるため葺き替えをおすすめします。

Q. カバー工法は何年くらいもちますか?

載せる金属屋根材の寿命が目安になります。一般に20〜30年程度とされることが多いですが、素材(ガルバリウム/SGL)や立地、点検の有無で幅があります。棟・軒先などの端部を定期的に点検することが、長持ちにつながります。

Q. 古いスレートに石綿(アスベスト)が含まれていても大丈夫ですか?

おおむね2004年以前のスレートには石綿を含む製品があります。カバー工法は割らず・撤去せず重ねるため飛散を比較的抑えやすい工法とされますが、法令では一定規模以上の改修で事前調査と報告が義務づけられています。当社は法令に沿って対応します。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

屋根の面積・形状・勾配、屋根材、下地補修の要否、足場の条件で変わります。目安として㎡単価は一般に8,000〜15,000円程度とされ、足場が別途かかります。撤去費・廃材処分費がかからないぶん、葺き替えより抑えやすい傾向です。正確な金額は現地を拝見してお出しします。

Q. 火災保険は使えますか?

風災・雹災・雪災など自然災害による被害は火災保険の対象になり得ます(経年劣化は対象外です)。当社は被害が自然災害によるものだと分かる「調査報告書」を作成しますが、申請はお客様ご自身が行う形式で、代行申請はいたしません。「自己負担なく直せる」とうたう業者にはご注意ください。まずはご契約先の保険会社へご相談を。

監修・施工

株式会社永盛板金 三代目代表 永盛 斉(一級建築板金技能士・二級建築施工管理技士・職業訓練指導員)

初代・芳太郎が1926年(大正15年)に創業。二代目 道二、三代目 斉、四代目候補 睦宜、そして一級建築板金技能士の職人・永沼健太――群馬・太田で四代続く建築板金の専業です。現場で見て、実測し、板金屋の目でお話ししています。

代表の想い・永盛板金について ▶