提供サービスリフォーム工事外壁カバー工法(重ね張り)

外壁カバー工法(金属サイディングの重ね張り)

今ある外壁を剥がさず、その上から軽い金属サイディングを重ねて張るのが外壁カバー工法(重ね張り)です。塗装では追いつかなくなった外壁を、張り替えの手前でよみがえらせる選択肢。ただ、「軽いから」「重ねるだけだから」で決める工事ではありません。壁の中で何が起きているか、水と湿気の道をどう作るか――そこまで見て、はじめて長持ちします。群馬・太田の永盛板金(創業1926年)が、板金屋の目で、カバー工法の中身を正直にお話しします。金属はおすすめしますが、上から張れるかどうかは、下地を開けて確かめてから決めます。

永盛板金が施工する外壁カバー工法(金属サイディングの重ね張り)の現場

永盛板金が施工中の外壁カバー工法(金属サイディングの重ね張り)。既存の外壁の上から、新しい金属サイディングを下段から張り上げているところです。

① 外壁カバー工法(重ね張り)とは

既存の外壁を撤去せず、その上に胴縁(どうぶち)を打って通気層をつくり、その外側に軽い金属サイディングや板金を重ねて張る工法です。壁が二重になるので「重ね張り」とも呼びます。既存壁を剥がさないぶん、廃材が少なく、工期も張り替えより短めに収まる傾向があります。二重構造と断熱材一体型の材によって、断熱・遮熱・遮音をひと組足せるのも利点です。一方で、壁材が一枚増えるぶん建物は必ず重くなり、下地や構造材が傷んでいれば向きません。ここを正直に見極めるのが、この工事の要です。

② 塗装・カバー・張り替え ―― 三つの選び分け

外壁のリフォームには、大きく三つの道があります。どれが正解かは、外壁の傷み方と、壁の中(下地)の状態で変わります。

  • 塗装:表面の塗膜を塗り替えて守る。傷みが軽く、下地が健全なうちの手入れ。
  • カバー工法(重ね張り):塗装で追いつかなくなり、でも下地は健全なとき。上から軽い金属で覆い、断熱もひと組足せる。
  • 張り替え:下地・構造材が傷んでいる、雨漏りが進んでいるとき。剥がして、下から替える。

目安としては、築10年ほどで傷みが軽ければ塗装、築15〜20年ほどで窯業サイディングの反り・ひび・チョーキングが出て塗装で対処しきれない段階、かつ下地が健全ならカバー、築25〜30年で材そのものが寿命・下地に腐食があれば張り替え。ただし年数はあくまで目安で、最後は壁を見て判断します。

③ 窯業サイディングの「張り替え」との違い

いま最も普及している外壁材は窯業(ようぎょう)系サイディングです。セメントを主原料にした板で、意匠は豊富ですが、目地のシーリング打ち替えと再塗装のメンテを前提にした材。この窯業サイディングを剥がして新しい板に替えるのが「張り替え」、剥がさず上から金属を重ねるのが「カバー」です。

違いは、既存壁を撤去するかどうか。張り替えは撤去・廃材処分の手間と費用がかかる一方、壁の中を目で見て直せます。カバーは撤去しないぶん費用と工期を抑えやすい一方、既存壁の内側の劣化は見えにくくなる。だからこそカバーでは、張る前に下地を確かめる工程が欠かせません。なお、既存が窯業サイディングでも、下地が健全で胴縁のビスがしっかり効くなら、上に金属を重ねられます。反って浮いた窯業サイディングは塗装が乗りにくく、カバーか張り替えかの判断どころになります。

④ カバーできる壁・できない壁(適否)

上から張れるかどうかは、まず下地が水を持っていないか、ビスが効くかで決まります。

  • 向く:窯業サイディング・モルタル・金属サイディング・ALCなどで、下地や構造材が健全で、胴縁のビスがしっかり固定できる壁。
  • 向かない・要注意:下地や柱・間柱の腐食、雨漏りが進んでいる壁、割れ・浮きが激しい壁。タイル外壁のように、そのままではビスが効きにくい下地。

チョーキング(白亜化)――外壁を手でこすると白い粉がつく現象は、塗膜が寿命を迎え、防水の力が落ちてきたサインです。ここまで来ると塗装で追いつかないことがあり、カバーや張り替えを考える段階。また群馬のように冬に凍結する土地では、外壁が吸った水が凍って膨らみ、表面を欠けさせる凍害(とうがい)が起きます。凍害でボロボロになった壁は、その上に張るより、下地から見直したほうが家のためになることもあります。どちらも、現場で壁を見て、小屋裏や壁内の状態まで確かめてから判断します。

⑤ 胴縁と通気層 ―― カバー工法の心臓

カバー工法でいちばん大事なのは、じつは表面の金属ではなく、その裏に隠れる通気層です。既存壁の上に胴縁(細い下地材)を縦に打ち、新しい外壁材との間に空気の通り道をつくる。この層が、次の三つを同時にこなします。

  • 万一入り込んだ雨水を、下から外へ排出する。
  • 壁の中の湿気を逃がし、内部結露を抑える。
  • 空気の層が断熱・遮音を助ける。

「カバーしたのに数年でシミが出た」というトラブルの多くは、じつは雨漏りではなく、通気が足りずに壁の中が蒸れた内部結露が原因です。だから通気の入口(下)と出口(上)をふさがないこと、胴縁は腐食や伸縮に配慮した材を選ぶことが効きます。空気の道を切らさない――ここが、上から張るだけの工事と、長持ちする工事の分かれ目です。

⑥ 断熱・遮熱 ―― 二重壁と一体型で底上げする

カバー工法は、外壁の断熱・遮熱を足しやすい工事です。理由は二つ。一つは、既存壁+通気層+新しい壁の二重構造になること。もう一つは、金属サイディングの多くが断熱材一体型――金属板の裏に硬質ウレタンなどの断熱材が貼り合わされた材だからです。夏の日射を受け流し、冬は壁の中の温度差をやわらげる。群馬のように夏は酷暑、冬は冷え込む土地では、この底上げが暮らしの快適さに直結します。断熱材の厚みや性能は製品ごとに幅があるため、採用する材のカタログをもとにご提案します。

⑦ 重量と耐震の考え方(不利な事実も、正直に)

カバー工法は壁を一枚足すので、建物は必ず重くなります。これは隠さずにお伝えする事実です。重い建物ほど地震のときに揺れる力(慣性力)が大きくなるため、重量増は耐震にとって不利な方向に働きます。

だからこそ、重ねる材は軽い金属を選びます。金属サイディングはおおむね4kg/㎡前後(製品により幅あり)で、モルタルの約10分の1、窯業サイディング(一般に17〜20kg/㎡ほど)と比べてもかなり軽い。重くなる事実を認めたうえで、増える重さを最小限にとどめる。既存の壁がモルタルや窯業で、もともと重く耐震に不安がある建物ほど、軽い金属と、建物そのものの状態確認が大切になります。「重くならない」とは申しません。「いちばん軽い材で、増加を抑える」――これが正直な考え方です。

⑧ 防火 ―― 認定品を、認定通りに施工する

隣家や道路に近い外壁――延焼のおそれのある部分(敷地境界線や道路中心線から、1階は3m、2階以上は5m以内)では、建物の地域区分によって、外壁に一定の防火性能(防火構造など)が求められます。金属サイディングには、この防火性能を国の大臣認定で満たした製品があります。

重ね張りで大事なのは、こうした認定品を認定された通りの下地・胴縁の組み方で施工すること。認定は「この材を、この納まりで使えば、この性能」という条件つきだからです。お住まいが防火・準防火などどの区分にあたるか、採用製品がその区分に対応する認定を持つかは、製品カタログと管轄の行政庁で確認したうえでご提案します。ここを曖昧にしないのが、板金屋の仕事です。

⑨ 板金屋の急所は「取り合い」 ―― 永盛の差別化

カバー工法の雨漏りは、平らな壁面のど真ん中からではなく、その多くが窓まわり・入隅出隅(壁の角)・軒との取り合い(納まり)から起きます。ここをどう板金で納めるかが、工事の質を決めます。永盛板金は屋根板金を本業とする建築板金の専業。屋根で鍛えた雨仕舞いの技を、そのまま外壁の取り合いに使います。

窓まわりを、水の道を切って納める

開口部は、水が入りたがる場所です。永盛は、見切り・水切りの役物を回し、上端は水を抜く勾配をつけ、防水の重ね順(下から上へ)を守って納めます。ここの一手間が、数年後のシミを防ぎます。

役物を、外壁材と一体で自社加工する

出隅・入隅・見切り・水切りといった役物(やくもの)を、既製品に頼らず、外壁材と合わせて自社で加工します。1cm単位・最長6mまで現場の寸法に合わせて成形するので、継ぎ目と隙間を減らせる。留めるビスも次の板の下に隠す納め方で、水の道を切り、面をすっきり通します。

屋根と外壁の取り合いを、一社で通す

外壁の上端は、軒や屋根とぶつかります。屋根も外壁も板金で手がける永盛なら、この取り合いを一社で通して納められる。屋根屋・外壁屋・塗装屋と分かれると継ぎ目になりやすい急所を、板金一枚でつなぎます。既製の板を並べるだけでは届かない、100年続く板金屋の芯です。

⑩ 群馬の気候に合わせて、納める

同じカバー工法でも、この土地に合わせて考えます。群馬は、冬の赤城おろし(継続的な北西の強風。前橋では台風時に最大瞬間風速40m/s級を記録した年もあります)、近年くり返す雹(ひょう)、夏の酷暑(隣の伊勢崎市で国内最高41.8℃を記録)、そして冬の凍結。

  • 強風:めくれ・吹き込みを防ぐため、見切り・水切りの効かせ方と留めビスのピッチを、この風に合わせます。
  • :金属は塩ビ系より割れにくく、傷むとすれば端部や取り合い。だから端部の納まりを固めます(金属も無敵ではなく、めっきの傷から錆びる点は正直にお伝えします)。
  • 酷暑:断熱材一体型と通気層で、夏の日射を受け流します。
  • 凍結:水を溜めず、切って落とす納まりで、凍害を防ぎます。

*気候の数値は気象庁の記録に基づきますが、年・地点により幅があります。製品の重量・断熱・保証などの数値も、メーカーや条件で幅があるため、実際の選定では製品資料をもとにご提案します。

⑪ 「30年保証」の正しい読み方

金属サイディングには長期保証をうたう製品があり、「30年保証」といった数字を見かけます。ここは、正直にお伝えしたいところです。長期の保証と、実際のメンテ周期は、別の話だからです。

製品によっては、板そのものの本体(割れ・欠け・反りなど)の保証を長め(30年程度)に設定する一方、表面の塗膜の変色・さび・穴あきの保証は10〜15年程度と、分けて定めていることがあります。つまり「30年、まったく手をかけなくていい」という意味ではありません。何が・何年保証されるのかを分解して読み、点検の目安(一般に10〜15年ごと)とあわせてお伝えします。都合のいい数字だけを大きく見せることはしません。実際の保証内容は、採用製品の保証書で確認します。

⑫ 費用の考え方(幅・条件つき)

費用は、外壁の面積・形・下地の状態・足場のかけやすさ・付帯物(雨樋や給湯器の脱着)で大きく変わるため、ひとつの金額では言えません。目安として、世に出ている一般的な相場を、幅でお示しします。

  • 金属サイディングのカバー:㎡単価 おおむね9,000〜14,000円ほど(条件により5,000〜15,000円の幅)。
  • 30坪ほどの住宅で、総額 おおむね130〜250万円ほど(材・下地補修・付帯工事で変動)。
  • 足場:おおむね20万円前後(600〜1,000円/㎡)。総額を最も動かすのが、この足場です。

三つの工法をおおまかに並べると、塗装よりは高く、張り替えよりは抑えやすい――カバーは張り替えより数十万円ほど安く、工期も1〜2週間ほど短く収まる傾向があります。ただし、いずれも現地を見てからの正式なお見積りが前提です。数字が独り歩きしないよう、内訳(材・足場・下地補修・付帯)を分けてご説明します。

⑬ 火災保険と、永盛の「調査報告書」

風災・雹災・雪災など自然災害による被害は、火災保険の対象になり得ます。反対に、経年劣化(年月による傷み)は対象外です。ここは損害保険の基本で、外壁のチョーキングや塗膜の寿命そのものは、災害ではありません。

永盛板金は、被害が自然災害によるものだと分かるように、調査報告書を作成します。中身は、①被害が自然災害由来だと示す根拠、②複数の角度から撮った損傷写真、③技術的に妥当な復旧案。この報告書を、お客様ご自身の保険申請の後押しに使っていただきます。代行申請は行いません(無資格者が報酬を得て申請手続きを代行することは、法律上の問題があるためです)。

あわせて、二つ注意があります。カバー工法は外壁を全面的に新しくするリフォームなので、工事費の全額が保険の対象になるわけではありません(認定された被害額を、工事の原資の一部に充てる形です)。そして、「保険で自己負担なく直せる」「実質ゼロ円」とうたう申請代行業者にはご注意ください。着手金や高い成功報酬をめぐるトラブルが、消費者向けに注意喚起されています。まずはご契約の保険会社・代理店にご相談を。

▶ 「プロが作成する調査報告書の重要性」について、詳しくはこちら

よくあるご質問

Q. カバー工法と張り替え、どちらがいいですか?

A. 一概には言えません。下地・構造材が健全で、外壁材の反りやチョーキングで塗装が追いつかない段階なら、カバーが選択肢になります。下地に腐食がある、雨漏りが進んでいるといった場合は、剥がして下から替える張り替えのほうが家のためになります。まず現場で壁の中の状態を確かめてから判断します。

Q. 外壁を手でこすると白い粉がつきます。カバーできますか?

A. その白い粉はチョーキング(白亜化)で、塗膜が寿命に近づき、防水の力が落ちてきたサインです。塗装で対処しきれない段階のことが多く、カバーや張り替えを考える時期です。ただし、上から張れるかは下地の健全さしだい。点検のうえでご提案します。

Q. 重ね張りで家が重くなって、地震に弱くなりませんか?

A. 壁が一枚増えるので、建物は必ず重くなります。これは正直にお伝えする事実です。だからこそ、重ねる材にはモルタルの約10分の1という軽い金属サイディングを選び、増える重さを最小限にとどめます。もともと重い外壁で耐震に不安がある建物ほど、材の選定と建物の状態確認を丁寧に行います。

Q. 何年もちますか?「30年保証」とありますが。

A. 金属サイディングは一般に30年程度が目安とされ、点検は10〜15年ごとが目安です。ただし「30年保証」は、板本体(割れ・欠け・反りなど)の保証と、塗膜の変色・さび・穴あきの保証とで年数が分かれていることが多く、後者は10〜15年程度のことがあります。何が何年保証されるかを分けてご説明します。

Q. 火災保険は使えますか?

A. 風災・雹災・雪災など自然災害による被害は対象になり得ますが、経年劣化は対象外です。永盛板金は、被害が自然災害由来だと分かる調査報告書(損傷写真・技術的な復旧案)を作成し、お客様ご自身の申請を後押しします。代行申請は行いません。カバー工事の全額が保険対象になるわけではない点、「自己負担なく直せる」とうたう業者にご注意いただく点もあわせてお伝えします。まずはご契約の保険会社へご相談ください。

Q. 工事期間はどれくらいですか?

A. 建物の大きさや形、付帯工事によりますが、一般的な住宅で2〜3週間ほどが目安です。開口部が多い、付帯物の脱着が多いといった条件で前後します。正確な期間は現地調査のうえでお伝えします。

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監修・施工

株式会社永盛板金 三代目代表 永盛 斉(一級建築板金技能士・二級建築施工管理技士・職業訓練指導員)

初代・芳太郎が1926年(大正15年)に創業。二代目 道二、三代目 斉、四代目候補 睦宜、そして一級建築板金技能士の職人・永沼健太――群馬・太田で四代続く建築板金の専業です。現場で見て、実測し、板金屋の目でお話ししています。

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